この記事は、登録日本語教員NEXT 編集部が試験案内・受験者の振り返り・出題傾向から整理した一般的な注意点です。最終判断は公式情報を確認してください。
この記事の対象
- 試験まで残り3〜6か月の受験予定者
- 過去問を解いて「同じパターンで間違える」自覚がある方
- 直前期に「漏れがないか」チェックしたい方
- 学習計画は立てたが「優先度の高いつまずき」を整理したい方
全体マップ — 5区分のつまずき分布
| 区分 | つまずき数 | 主な落とし穴 |
|---|---|---|
| 社会・文化・地域 | 6項目 | 推進法・認定法・育成就労の混同/年号と制度のズレ |
| 言語と社会 | 6項目 | 敬語5分類の混同/ピジン・クレオール・ダイグロシア |
| 言語と心理 | 6項目 | SLA諸説の研究者混同/BICS/CALPの誤理解 |
| 言語と教育 | 6項目 | 教授法の年代混同/フィードバック類型の混同 |
| 応用試験・横断 | 6項目 | 設問文の誤読/消去法のミス/マークズレ |
1. 社会・文化・地域 のつまずき 6項目
つまずき #1: 推進法・認定法・育成就労の年号と目的を混同する
| 法律 | 施行年 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 日本語教育推進法 | 2019年6月 | 国・地方・事業主の責務/基本枠組み |
| 日本語教育機関認定法 | 2024年4月 | 認定機関の質保証/登録日本語教員制度 |
| 育成就労(出入国管理法改正) | 2027年4月予定 | 就労外国人の受入と育成 |
回避策: 32 推進法・育成就労 完全攻略 のタイムライン SVG で1枚に整理。
つまずき #2: 「登録日本語教員」と「登録日本語教育」を混同する
正しい呼称は 登録日本語教員。資格名としても法令名としても「教員」が正解。「登録日本語教育」は誤称(教員試験本番でも選択肢に紛れて出題される可能性あり)。
つまずき #3: JFスタンダードと CEFR の関係を逆に覚える
- CEFR(2001年・欧州評議会)が先
- JFスタンダード(2010年・国際交流基金)が CEFR を参考に作られた
「JFスタンダードが CEFR の元になった」と書かれた選択肢は誤り。
つまずき #4: 認定日本語教育機関の3課程を覚えていない
「留学」「就労」「生活」の3課程。100時間講習は 就労課程 に位置付けられる予定。
つまずき #5: 在留資格の階層を混同する
- 「特定技能」と「育成就労」は別制度(特定技能は2019年創設、育成就労は2027年4月予定)
- 「技能実習」は2027年に育成就労へ移行
- 家族帯同は 特定技能2号のみ 可(育成就労・特定技能1号は原則不可)
つまずき #6: 日本語教育能力検定試験と日本語教員試験を混同する
- 日本語教育能力検定試験(JEES主催)→ 2024年で終了
- 日本語教員試験(文部科学省)→ 2024年度から新設・国家資格
過去問は別の試験のものなので、試行試験・第1回・第2回(令和6・7年度)以降が対象。
2. 言語と社会 のつまずき 6項目
つまずき #7: 敬語の旧3分類と新5分類を混同する
文化審議会2007年答申「敬語の指針」で、伝統的な3分類(尊敬・謙譲・丁寧)が 5分類 に整理された。
- 尊敬語
- 謙譲語Ⅰ(向かう先を高める)
- 謙譲語Ⅱ(聞き手に丁重・丁重語)
- 丁寧語
- 美化語
33 完全攻略 の対象関係図も参照。
つまずき #8: 謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの区別がつかない
- 謙譲語Ⅰ: 「先生のところに伺う」← 向かう先(先生)を高める
- 謙譲語Ⅱ: 「明日大阪に参ります」← 大阪を高めず、聞き手に丁重に
つまずき #9: ピジンとクレオールの関係を逆に覚える
ピジンが先(補助言語)→ クレオールが後(母語化)。
つまずき #10: ダイグロシアと多言語使用を混同する
ダイグロシア(ファーガソン 1959)は、1つの社会内で高変種(H)と低変種(L)が機能的に使い分けられる現象。バイリンガル個人の言語切替ではない。
つまずき #11: コードスイッチングと役割語を区別できない
- コードスイッチング:実際の言語使用の切替(バイリンガル研究)
- 役割語(金水敏 2003):フィクションのステレオタイプ(博士語・お嬢様言葉等)
つまずき #12: 「接触場面」を方言接触と勘違いする
ネウストプニーの「接触場面(contact situation)」は、異なる言語文化背景の話者が関わる場面全般。方言接触に限定されない。
3. 言語と心理 のつまずき 6項目
つまずき #13: SLA諸説の提唱者を混同する
| 仮説/理論 | 提唱者 |
|---|---|
| インプット仮説(i+1) | クラッシェン |
| アウトプット仮説 | スウェイン |
| 中間言語・化石化 | セリンカー |
| インタラクション仮説 | ロング |
| 情意フィルター | クラッシェン |
29 SLA まとめ で人物別に整理。
つまずき #14: BICS と CALP の習得年数を間違える
- BICS(生活言語能力): 約2年
- CALP(学術言語能力): 5〜7年
「BICS が遅い」と書かれた選択肢は誤り。
つまずき #15: 動機づけの「統合的・道具的」と「内発・外発」を混同する
- ガードナー&ランバート: 統合的動機づけ・道具的動機づけ
- デシ(自己決定理論): 内発的動機づけ・外発的動機づけ
別系統の理論。
つまずき #16: 学習ストラテジーの分類を間違える
オックスフォードの SILL は 直接ストラテジー(記憶・認知・補償) と 間接ストラテジー(メタ認知・情意・社会) の6分類。
つまずき #17: ZPD とスキャフォールディングの提唱者を混同する
- ZPD(最近接発達領域): ヴィゴツキー
- スキャフォールディング: ブルーナー が ZPD をもとに発展させた
つまずき #18: 形成的評価と総括的評価の目的を逆にする
- 形成的評価: 学習過程の改善(途中で軌道修正)
- 総括的評価: 学習結果の判定(最終認定)
ポートフォリオ評価は形成的評価の代表例。
4. 言語と教育 のつまずき 6項目
つまずき #19: 教授法の年代と特徴を混同する
| 教授法 | 出現時期 | 特徴 |
|---|---|---|
| 文法訳読法(GTM) | 19世紀 | 文法説明+翻訳 |
| 直接法(ベルリッツ等) | 19世紀末 | 媒介語なし |
| ALM(オーディオリンガル法) | 1940年代 | パタプラ・ドリル |
| CA(コミュニカティブアプローチ) | 1970年代 | 意味のやりとり |
| TBLT(タスクベース) | 1980年代以降 | タスクを学習の中心に |
つまずき #20: Focus on Form / Forms / Meaning を混同する
- Focus on Form: 意味のやりとりの中で必要に応じて形式に注意(Long 1991)
- Focus on Forms: 形式を主体に分離して教える(伝統的)
- Focus on Meaning: 意味のみ・形式不問
つまずき #21: ジグソー法と協同学習の関係を曖昧にする
ジグソー法(アロンソン 1971)は協同学習の 代表的手法のひとつ。情報ギャップを意図的に作るのが核心。
つまずき #22: フィードバック類型を混同する
Lyster & Ranta(1997)の6類型:
- 明示的訂正
- リキャスト
- メタ言語的フィードバック
- 引き出し(elicitation)
- 明確化要求(clarification request)
- 繰り返し
48 訂正フィードバック も参照。
つまずき #23: CLIL とイマージョンを区別できない
- CLIL: 内容と言語を統合的に学習(欧州中心・両方を目的)
- イマージョン: 目標言語で 他教科を学習(カナダ仏語イマージョン等)
つまずき #24: 学習スタイル理論を絶対視する
「視覚型・聴覚型・運動型」のような学習スタイル分類は、教育心理学では 科学的根拠が弱い(neuromyth)とされる。試験で「学習スタイルに合わせるべき」と断定する選択肢には注意。
5. 応用試験・横断 のつまずき 6項目
つまずき #25: 「適切でないもの」「誤っているもの」型の見落とし
選択肢中で「正しいもの」を選ぶか「誤っているもの」を選ぶか、設問文の最後を指で押さえながら確認。
つまずき #26: 極端な表現に引っかかる
「すべて」「絶対」「常に」「のみ」のような極端な表現が含まれる選択肢は 誤りの可能性が高い。ただし例外もあるので「ほぼ確実に違う」程度で消去候補に。
つまずき #27: 聴解で「直感を信じない」
1回しか流れない聴解問題で、直感マークを後から「やっぱり別かも」と書き換えると正答率が下がる傾向。最初の直感は信じる。
つまずき #28: マークズレを最後まで気づかない
1問飛ばしたあとに後の問題を解くと、すべてズレる。5問単位で「問題番号 = マーク番号」を確認する習慣を。
つまずき #29: 残り時間配分の感覚を持たない
基礎試験120分・100問 → 1問あたり 約72秒。応用試験120分・110問 → 1問あたり 約65秒。20分時点で25問、50分時点で60問が目安。
つまずき #30: 空欄を作ってしまう
マークシートは空欄でも減点はないが加点もない。分からなくても必ず1つはマーク(4択なら25%の確率)。
チェックリスト — 試験直前期に1日1回読み返す
- 推進法・認定法・育成就労の年号と目的を即答できるか
- 敬語5分類の対象(誰を高めるか)を区別できるか
- SLA諸説の提唱者を5人挙げられるか
- 教授法の年代順(GTM→直接法→ALM→CA→TBLT)を言えるか
- BICS と CALP の習得年数の違いを覚えているか
- 「適切でないもの」型の設問を見抜く癖がついているか
- マークズレを5問単位で確認する習慣ができているか
- 聴解で直感マークを後から変えない覚悟ができているか
- 残り時間配分(72秒/問)を意識できるか
- マークシートを空欄で残さない覚悟ができているか
つまずき克服のおすすめ学習リソース(登録日本語教員NEXT 内)
- 26 6か月学習計画 — 全体スケジュール
- 27 音声学・音韻論 — 拍・アクセント
- 28 文法 頻出ポイント — テンス・アスペクト・ヴォイス・モダリティ
- 29 SLA まとめ — 研究者と理論の対応
- 30 教授法の歴史と現代
- 31 社会・文化・地域 完全攻略
- 32 推進法・育成就労 完全攻略
- 33 言語と社会 完全攻略
- 36 応用試験 完全対策
- 37 第2回出題現代用語
- 38 頻出研究者・人名
- 39 公式サンプル問題 完全解説
- 51-53 試験直前ハンドブック
- 第3回予想問題集(100問)
本記事は試験対策の参考情報として整理したもので、出題範囲・配点は公式情報を必ず確認してください。練習問題(本サイト作成)は公式問題ではありません。