この記事は、2026年5月時点で公表されている情報をもとに整理しています。制度の詳細・運用・分野別基準は更新される可能性があります。最新情報は必ず公式情報を確認してください。
この記事の対象
- 育成就労の「日本語要件」がよく分からない方
- A1とN5、A2とN4の関係を一度整理したい受験予定者
- 認定日本語教育機関で就労課程に関わる予定の登録日本語教員
育成就労の日本語要件は、技能実習との大きな違いの一つです。就労前・就労中・特定技能1号への移行時の3段階で水準が予定されています。
1. 育成就労の日本語要件マップ
2. A1 / A2 / N5 / N4 の対応関係
「A1 相当」「N5 相当」と書かれていても、実際にはどう対応しているのか。CEFR と JLPT は別の枠組みなので、ぴったり一致するわけではないことに注意が必要です。
| CEFR | JLPT | JF日本語基礎テスト(JFT-Basic) | 特定技能・育成就労の位置付け |
|---|---|---|---|
| A1 | N5 相当(参考) | — 範囲外 | 育成就労 就労開始前の予定 |
| A2 | N4 相当(参考) | A2 を測定する | 特定技能1号 移行時 |
| B1 | N3 相当(参考) | — | 分野によっては推奨 |
| B2 / C1 | N2 / N1 相当 | — | 特定技能2号で分野ごとに設定(高度な水準) |
3. 「就労前にA1相当」を満たす2つのルート
育成就労の就労開始前要件として、現時点で予定されているのは次の2ルートです。
- JLPT N5 合格
- または 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA1相当合格
- 来日前に母国で受験できる
- 独学・現地教育機関での学習が前提
- 認定日本語教育機関の「就労」課程
- 100時間の集中講習を修了
- 来日前 or 来日直後に受講
- 登録日本語教員の活躍の場として注目
「試験ルート=個人の自己学習+認定試験」「講習ルート=機関での集中受講+修了認定」の二択構造。後者は登録日本語教員の関わり方として42 育成就労100時間講習の中身を予想するで詳述します。
4. 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
特定技能1号でも採用されているA2レベルの試験。育成就労からの移行ルートで使われる主要な試験のひとつです。
| 項目 | JFT-Basic |
|---|---|
| 運営 | 国際交流基金(JF) |
| レベル | A2 を測定(CEFR準拠) |
| 試験形式 | CBT(コンピュータ試験) |
| 技能 | 文字と語彙/会話と表現/聴解/読解 |
| 活用場面 | 特定技能1号の日本語要件として採用 |
| JFスタンダード準拠 | 準拠(Can-do記述ベース) |
JLPT は「読む・聞く」2技能のみだが、JFT-Basic は4技能ベースの設計。試験との対応関係は混同されやすいので整理して覚えましょう。
5. 分野ごとに違う「日本語水準」の運用
育成就労は、分野ごとに必要な日本語水準が個別に設定される点が重要です。一律ではありません。
| 分野例 | 就労前 | 就労中 | 特定技能1号移行時 |
|---|---|---|---|
| 介護 | A1相当 | A2への到達を支援 | 介護日本語評価試験 + N4 相当 |
| 建設 | A1相当 | A1〜A2 | 建設分野技能試験 + JFT-Basic |
| 農業 | A1相当 | A1〜A2 | 農業技能測定試験 + JFT-Basic |
| 外食業 | A1相当 | A1〜A2 | 外食業技能測定試験 + JFT-Basic |
6. 介護分野の特殊性
介護分野は、人命・尊厳に直結するため、他分野より一段高い日本語要件が課されます。育成就労からの移行でも、介護日本語評価試験(介護に特化した日本語試験)が必要になる予定です。
- JFT-Basic(A2相当)または JLPT N4 合格
- + 介護日本語評価試験 合格
- + 介護技能評価試験 合格
7. 試験で問われやすい論点
- A1とJLPT N5の関係:「相当」であって完全一致ではない
- JLPTの技能数:読む・聞くの2技能のみ。話す・書くは測定しない
- JFT-Basicの位置付け:A2を測定、特定技能1号で採用
- 育成就労の3段階要件:就労前A1相当/育成期間中/特定技能1号移行時A2相当
- 介護分野の特殊性:介護日本語評価試験という別建ての試験
- 100時間講習:認定日本語教育機関の就労課程
- JFスタンダード準拠:JFT-Basic は JF スタンダードに準拠
8. 練習問題(4択・本サイト作成)
練習問題(日本語教員NEXT作成)。公式問題ではありません。
問1:育成就労(2027年4月施行予定)の就労開始前の日本語要件として、2026年5月時点で公表されている内容と整合的なものを選んでください。
- JLPT N3 合格 または 200時間講習修了
- JLPT N5 合格 または 認定日本語教育機関の100時間講習修了
- JLPT N4 合格のみ
- JLPT N1 合格
正解:2
解説:A1相当(JLPT N5 相当)の試験合格 または 認定日本語教育機関の100時間講習修了。1は時間と水準が違う、3は移行時のN4と混同、4は高度すぎる。
問2:JLPT と JFT-Basic に関する記述として、適切なものを選んでください。
- JLPT は4技能を測定する
- JFT-Basic は CEFR の A2 を測定する
- JLPT N5 は CEFR の B1 に相当する
- JFT-Basic は紙ベースの試験のみ実施される
正解:2
解説:1は誤り(JLPTは「読む・聞く」の2技能のみ)。3は誤り(N5はA1相当)。4は誤り(JFT-BasicはCBT)。2が正しい。
9. 確認問題(一問一答・本サイト作成)
練習問題(日本語教員NEXT作成)。公式問題ではありません。
Q1. 育成就労の就労前日本語要件のCEFRレベルは?
A1. A1相当
Q2. 特定技能1号への移行時の日本語要件のCEFRレベルは?
A2. A2相当以上
Q3. A1はJLPTのどのレベルに相当する(参考値)?
A3. N5相当
Q4. JLPTが測定する技能は?
A4. 読む・聞く(2技能)
Q5. JFT-Basicを運営している団体は?
A5. 国際交流基金(JF)
Q6. JFT-Basicの試験形式は?
A6. CBT(コンピュータ試験)
Q7. 介護分野で特定技能1号移行時に追加で必要な試験は?
A7. 介護日本語評価試験(および介護技能評価試験)
Q8. 育成就労100時間講習の所管課程は?
A8. 認定日本語教育機関の「就労」課程
学習リソース
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」
- 国際交流基金「日本語基礎テスト(JFT-Basic)受験案内」
- 厚生労働省 介護分野の特定技能基準資料
- 文部科学省「日本語教員試験 試験案内」
- 文化庁「JFスタンダード」関連資料
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本記事は2026年5月時点の情報に基づいて作成しています。育成就労制度・特定技能制度・JFT-Basic・各分野の試験基準は、施行までの間に変更される可能性があります。最新情報は必ず出入国在留管理庁・国際交流基金・厚生労働省・所管省庁の公式資料を確認してください。