結論:経過措置の要点
- 経過措置とは: 新制度への円滑な移行と負担軽減のため、一定の要件を満たす人について、日本語教員試験や実践研修を免除するしくみです。
- ルートは6つ: 文部科学省の区分は C、D-1、D-2、E-1、E-2、F です。「A・B」というルート名はありません(経過措置ではない通常の取得方法は「養成機関ルート」「試験ルート」と呼ばれます)。
- 期限: 経過措置期間は令和6年4月1日から令和11年3月31日(2029年3月31日)まで。Cルートだけは令和15年3月31日(2033年3月31日)までです。
- 現職者の最終機会: 文部科学省の手引きでは、令和10年度(2028年度)の日本語教員試験が、現職者の経過措置の適用を受けられる最後の試験とされています。
- どのルートでも試験への出願は必要: 試験が全部免除されるE-1・E-2でも、日本語教員試験に出願して免除の確認を受け、合格証書を取得しなければ登録申請ができません。
- 複数のルートに当てはまる場合: どのルートを使うかは本人が選択します。
ルート別の対象者と期限
| ルート | 主な対象者 | 期限 |
|---|---|---|
| C | 必須の50項目に対応した養成課程等の修了者+学士以上(現職経験は不要) | 2033年3月31日 |
| D-1 | 現職者のうち、平成12年報告に対応した養成課程等の修了者+学士以上 | 2029年3月31日 |
| D-2 | 現職者のうち、C・D-1以外で告示基準の教員要件に当たる養成課程等の修了者+学士以上 | 2029年3月31日 |
| E-1 | 現職者のうち、1987年4月1日〜2003年3月31日に実施された日本語教育能力検定試験の合格者 | 2029年3月31日 |
| E-2 | 現職者のうち、2003年4月1日〜2024年3月31日に実施された日本語教育能力検定試験の合格者 | 2029年3月31日 |
| F | 上記以外の現職者 | 2029年3月31日 |
ルート別の講習と免除範囲
| ルート | 講習 | 基礎試験 | 応用試験 | 実践研修 |
|---|---|---|---|---|
| C | 不要 | 免除 | 要受験 | 免除 |
| D-1 | 講習Ⅱ | 免除 | 要受験 | 免除 |
| D-2 | 講習Ⅰ・Ⅱ | 免除 | 要受験 | 免除 |
| E-1 | 講習Ⅰ・Ⅱ | 免除※ | 免除※ | 免除 |
| E-2 | 講習Ⅱ | 免除※ | 免除※ | 免除 |
| F | 不要 | 要受験 | 要受験 | 免除 |
※E-1・E-2は基礎試験・応用試験とも免除されますが、日本語教員試験への出願は必要です。
出典: 文部科学省「登録日本語教員の資格取得ルートに関する要件(経過措置期間)」PDF p.1・p.3、「登録日本語教員の登録申請の手引き」p.4〜8(いずれも確認日: 2026-09-25)。
免責事項(§15.3 Cパターン): 本記事は2026年9月25日時点で文部科学省が公表している資料をもとにした整理であり、経過措置の適用を保証するものではありません。個別のルート該当性や必要書類は、文部科学省の公式資料・問い合わせ窓口で確認してください。
1. 「現職者」の条件(D-1・D-2・E-1・E-2・F共通)
D-1・D-2・E-1・E-2・Fの5ルートは、いずれも「現職者」であることが要件です。Cルートだけは現職経験を求めていません。
文部科学省の手引きでは、現職者を次のように定めています。
- 期間: 平成31年(2019年)4月1日から令和11年(2029年)3月31日までの間
- 勤務先: 次のいずれかで、日本語教員として1年以上勤務したこと
- 法務省告示機関で告示を受けた課程
- 国内の大学
- 認定日本語教育機関で認定を受けた課程
- 文部科学大臣が指定した日本語教育機関(認定を受けた日本語教育機関が過去に実施した課程)
- 「1年以上」の意味: その機関で1年以上の雇用期間があり、平均して週1回以上、日本語教育課程の授業を担当していたこと
- 合算: 複数の機関での経験を合計して1年以上でも要件を満たします
- 主任教員: 日本語教育課程の編成や管理を主な業務としていた主任教員は、授業が平均週1回未満でも経験に含められます
日本語教員試験の案内では、この1年以上の経験が出願時点で必要とされています。出願時には、勤務先の設置者が発行する指定様式の在職証明書を提出します。
出典: 「登録日本語教員の登録申請の手引き」p.5・p.12〜13、文部科学省「日本語教員試験に関すること」(確認日: 2026-09-25)。
2. Cルート:必須の50項目に対応した養成課程等の修了者
対象: 次の2つをどちらも満たす人です。現職経験は問われません。
- 「必須の教育内容50項目に対応した日本語教員養成課程等」として文部科学省の確認を受けた課程を修了していること
- 学士・修士・博士の学位を持っていること(学士(専門職)、専門職学位、外国のこれらに相当する学位を含む)
免除される内容: 日本語教員試験の基礎試験と実践研修。応用試験は受験が必要です。
期限: 令和15年(2033年)3月31日まで。大学等の準備が遅れた場合でも、それ以前から在籍していた学生等が経過措置を受けられるよう、原則の5年に大学の修業年限4年を加えた期間とされています。
注意点
- 「日本語教師養成課程を修了した」だけではCルートに当たりません。修了した課程と受講時期が、文部科学省の「確認結果」一覧に載っているかを確認します。一覧は課程ごとに実施期間が示されており、その期間内に受講を始めている必要があります。
- 短期大学士・準学士・専門士・高度専門士は、学位要件を満たしません。海外で取得した学位は認められます。
- 出願時には、課程の修了証明書と学位の証明書を提出します。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※2・※6)・p.3(※2)、手引き p.5・p.12(確認日: 2026-09-25)。
3. D-1ルート:平成12年報告に対応した養成課程等を修了した現職者
対象: 次の3つをすべて満たす人です。
- 現職者であること(1章の条件)
- 「平成12年報告に対応した日本語教員養成課程等」として文部科学省の確認を受けた課程を修了していること
- 学士以上の学位を持っていること(Cルートと同じ)
必要な講習: 経験者講習のうち講習Ⅱを修了すること。
免除される内容: 基礎試験と実践研修。応用試験は受験が必要です。
注意点
- D-1の対象課程も、Cと同じ文部科学省の「確認結果」一覧で確認します。一覧に載っている課程名と実施期間の組み合わせが基準です。
- 出願時には、課程の修了証明書、学位の証明書、講習Ⅱの修了証、在職証明書を提出します。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※3・※6・※9)、手引き p.5・p.12(確認日: 2026-09-25)。
4. D-2ルート:C・D-1以外の養成課程等を修了した現職者
対象: 次の3つをすべて満たす人です。
- 現職者であること
- 法務省告示基準の教員要件に当たる日本語教員養成課程等を修了していること(C・D-1の確認課程に当たらないもの)
- 学士以上の学位を持っていること
手引きの「経過措置ルート判定ガイド」では、2の「告示基準の教員要件に当たる養成課程等」を次のいずれかとしています。
- 大学(短期大学を除く)または大学院で日本語教育に関する教育課程を履修して所定の単位を修得し、卒業・修了した
- 大学または大学院で日本語教育に関する科目を26単位以上修得し、卒業・修了した
- 学士の学位を持ち、日本語教育に関する研修で適当と認められるものを420単位時間以上受講し、修了した
いわゆる「420時間講座」の修了者は、学士以上の学位があり、その講座がC・D-1の確認課程に載っていなければ、D-2の候補になります。一覧に載っていればC・D-1に当たる可能性があるため、先に確認結果を照合します。
必要な講習: 講習Ⅰと講習Ⅱの両方を修了すること。
免除される内容: 基礎試験と実践研修。応用試験は受験が必要です。
注意点: 経過措置期間PDFでは、C・D-1に当たらない養成課程等は、D-2に当たるかを文部科学省が確認する必要があるとしています。修了証などを添えて、文部科学省(nihongo@mext.go.jp)に問い合わせるよう案内されています。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※4・※6・※9)・p.3、手引き p.6・p.12・参考資料1(p.26)(確認日: 2026-09-25)。
5. E-1ルート:1987年4月〜2003年3月実施の日本語教育能力検定試験に合格した現職者
対象: 次の2つをどちらも満たす人です。学位や養成課程の修了は要件ではありません。
- 現職者であること
- 公益財団法人日本国際教育支援協会(JEES)が昭和62年(1987年)4月1日から平成15年(2003年)3月31日までに実施した「日本語教育能力検定試験」に合格していること
必要な講習: 講習Ⅰと講習Ⅱの両方を修了すること。
免除される内容: 基礎試験・応用試験の両方と実践研修。
注意点: 試験が全部免除されても、日本語教員試験への出願は必要です。免除資格の確認手数料(令和8年度は5,900円)を支払って出願し、経過措置の対象であることの確認を受け、合格証書を取得してから登録申請します。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※7・※9・※11)・p.3、手引き p.2・p.6(確認日: 2026-09-25)。
6. E-2ルート:2003年4月〜2024年3月実施の日本語教育能力検定試験に合格した現職者
対象: 次の2つをどちらも満たす人です。
- 現職者であること
- 日本国際教育支援協会(JEES)が平成15年(2003年)4月1日から令和6年(2024年)3月31日までに実施した「日本語教育能力検定試験」に合格していること
必要な講習: 講習Ⅱを修了すること。
免除される内容: 基礎試験・応用試験の両方と実践研修。
注意点: E-1と同じく、日本語教員試験に出願して免除の確認を受け、合格証書を取得する必要があります。なお、令和6年4月以降に実施された日本語教育能力検定試験の合格は、E-1・E-2のどちらの要件にも含まれていません。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※8・※9・※11)・p.3、手引き p.7(確認日: 2026-09-25)。
7. Fルート:上記に当たらない現職者
対象: 現職者であること(1章の条件)。C・D-1・D-2・E-1・E-2に当たらない現職者がFの対象です。
必要な講習: なし。
免除される内容: 実践研修のみ。基礎試験と応用試験は受験が必要です。
注意点
- 必要な経験は「1年以上」です。「3年以上」「5年以上」といった年数の区分はありません。
- 過去の日本語教員試験で基礎試験に合格し、基礎試験合格証明書を持っている人は、出願時に提出すると基礎試験が免除されます。
- 出願時には、指定様式の在職証明書を提出します。
出典: 経過措置期間PDF p.1・p.3、手引き p.7・p.13・p.21(確認日: 2026-09-25)。
8. 経験者講習(講習Ⅰ・講習Ⅱ)
D-1・D-2・E-1・E-2で試験の免除を受けるには、文部科学省が実施する「経験者講習」を修了する必要があります。
| 項目 | 講習Ⅰ | 講習Ⅱ |
|---|---|---|
| 内容 | 平成12年報告で新たに追加された内容が中心 | 平成31年審議会報告で追加された内容と、近年の情勢の変化が大きい内容が中心 |
| 時間の目安 | 90分×5コマ程度 | 90分×10コマ程度 |
| 修了試験 | 10問程度 | 20問程度 |
- 必要な講習: D-1とE-2は講習Ⅱのみ(受講料17,600円)、D-2とE-1は講習Ⅰ・Ⅱ(受講料26,400円)。
- 受講方法: インターネットのオンデマンド講習で、経過措置期間中(2029年3月31日まで)はいつでも受講できます。
- 出願との関係: 講習は出願の時点であらかじめ修了し、修了証を他の出願書類と一緒に提出する必要があります。
- 所要期間: 受講開始から修了証の交付まで、最短で1か月程度かかる見込みとされています。
- 修了証の有効性: 経過措置期間中であれば、どの年度の日本語教員試験の出願にも使えます。
- 受講と適用は別: 講習は誰でも受講できますが、出願時にD-1・D-2・E-1・E-2の要件を満たしていなければ経過措置は適用されません。
出典: 手引き p.8、文部科学省「登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習に関すること」、同「よくある質問」(令和8年度版)(確認日: 2026-09-25)。
9. 自分のルートを確かめる手順
文部科学省の「経過措置ルート判定ガイド」(手引きの参考資料1)は、次の順番で判定します。
- 2019年4月1日〜2029年3月31日に、対象機関で1年以上日本語教育課程を担当したか
- いいえ → 50項目対応課程の修了+学士以上なら C、それ以外は経過措置の対象外
- (現職者の場合)1987年4月1日〜2024年3月31日に実施された日本語教育能力検定試験に合格したか
- はい → 2003年4月1日以降の実施回の合格なら E-2、それより前なら E-1
- (検定合格がない場合)50項目対応課程の修了+学士以上なら C
- 平成12年報告対応課程の修了+学士以上なら D-1
- 告示基準の教員要件に当たる課程の修了+学士以上なら D-2、どれにも当たらなければ F
判定ガイドの結果は1つですが、複数のルートの要件を満たす人は、どのルートを使うかを自分で選べます。
当サイトの出願ルート診断でも、経歴・課程・学位・検定合格の情報から候補ルートの目安を確認できます。結果は参考情報のため、最終的には文部科学省の資料で照合してください。
出典: 手引き p.4・参考資料1(p.25〜26)、経過措置期間ページ(確認日: 2026-09-25)。
10. 期限と受験料
- 経過措置期間: C=2033年3月31日まで、D-1・D-2・E-1・E-2・F=2029年3月31日まで。
- 現職者ルートの最終試験: 令和10年度(2028年度)の日本語教員試験が、現職者の経過措置の適用を受けられる最後の試験とされています。講習の修了や在職証明書の準備は、その年度の出願期間より前に済ませておく必要があります。
- 令和8年度の受験料: 通常18,900円、基礎試験免除17,300円、基礎試験・応用試験の双方免除5,900円(いずれも合格証書発行手数料を含む)。
- 登録申請: 日本語教員試験の合格証書を取得した後、「日本語教育機関認定法ポータル」から登録申請します。登録手数料は4,400円です。
出典: 経過措置期間PDF p.1(※13)・p.3(※2)、手引き p.2・p.8・p.10、文部科学省「日本語教員試験に関すること」(確認日: 2026-09-25)。
よくある質問
Q. 経過措置はいつまでですか?
A. Cルートは2033年3月31日まで、D-1・D-2・E-1・E-2・Fルートは2029年3月31日までです。ただし、現職者の経過措置を使える日本語教員試験は、令和10年度(2028年度)実施の試験が最後とされています。
Q. 経過措置のルートAとルートBはありますか?
A. 文部科学省の資料では、経過措置のルートはC・D-1・D-2・E-1・E-2・Fの6つです。経過措置ではない通常の取得方法は「養成機関ルート」と「試験ルート」と呼ばれています。
Q. 日本語教育能力検定試験に合格していれば、試験を受けずに登録できますか?
A. 現職者で、2024年3月31日までに実施された日本語教育能力検定試験に合格している場合は、E-1またはE-2ルートで基礎試験・応用試験・実践研修が免除されます。ただし、所定の講習(E-1は講習Ⅰ・Ⅱ、E-2は講習Ⅱ)を修了したうえで日本語教員試験に出願し、免除の確認を受けて合格証書を取得する必要があります。現職者の条件を満たさない場合、E-1・E-2は使えません。
Q. 420時間の養成講座を修了していれば、どのルートですか?
A. 修了した講座が文部科学省の確認結果一覧に載っていればCまたはD-1、載っていなければ、現職者で学士以上の学位がある場合にD-2の候補になります。学位がない場合、420時間講座の修了だけではC・D-1・D-2の要件を満たしません。現職者で、日本語教育能力検定試験の合格によるE-1・E-2にも当たらなければ、Fルートの対象です。
Q. 現職者でなくても使えるルートはありますか?
A. Cルートは現職経験を要件としていません。50項目対応の確認を受けた課程を修了し、学士以上の学位があれば、基礎試験と実践研修が免除されます。
Q. Fルートでは何が免除されますか?
A. 実践研修だけです。基礎試験と応用試験は受験が必要です。
出典(文部科学省・確認日: 2026-09-25)
- 登録日本語教員の資格取得ルートに関する要件について(経過措置期間)
- 登録日本語教員の資格取得ルートに関する要件(経過措置期間)PDF(令和8年5月15日一部修正)
- 登録日本語教員の登録等に関すること(「登録日本語教員の登録申請の手引き」掲載ページ)
- 登録日本語教員の登録申請の手引き PDF(令和8年6月版)
- 日本語教員試験に関すること
- 登録日本語教員の経過措置に係る経験者講習に関すること
- 経験者講習 よくある質問 PDF(令和8年度版)
- 登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認について(C・D-1の確認結果)
免責事項: 本記事は2026年9月25日時点で公表されている文部科学省の資料をもとにした整理であり、経過措置の適用や登録の可否を保証するものではありません。最終的な判断は文部科学省の審査によります。
